自主制作映画
実家で発掘された品々の中に、大学時代に見て歩いた自主制作映画のパンフレットがあった。もし、自分が映画を作るとしたらという視点で見るとおもしろかったので、見て歩くのが好きだったのである。その中で、今でも覚えている作品がある。「亡き少女のためのパヴァーヌ」という映画である。
突然失踪した美少女を、ボーイフレンドと彼女の友人の女の子が失踪した理由と向かった場所について考えながら電車に乗って探しに行くというストーリーなのだが、最後までなぜ失踪したのかわからず、全編重く暗い雰囲気と音楽(亡き王女のためのパヴァーヌ?)が自主制作の映画としては異色だったような気がする。東京駅やそこから向かった富津岬で美少女の幻影のようなカットが入るが、いつも彼女は悲しそうな顔をしている。
僕にとってこの映画が強い印象で残ったのはラストである。美少女をみつけることができず、富津岬から2人が帰ってくるとき、だんだんかけ足になり、2人で手をつないで楽しそうに笑いながら帰っていくというシーンで終わるのである。それまでが重々しい雰囲気だったので、よけいにびっくりしたのであるが、この意味については何も語られていない。
探しに行った2人がなかよくなって付き合うことになったとも考えられるが、ひょっとしたら美少女なんて最初からいなくて、探しに行った2人はカップルで、こんなシチュエーションを考え出して屈折したデートをしていたのかも知れないとも考えられる。僕は後者であると思っている。
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